2014年11月09日

The Mechanics Of Destruction

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Radio Boy / The Mechanics Of Destruction
このアルバムは、ハーバートの別名義Radio Boyが、ジャパンツアーをした時に、配布された非売品です。私は、残念ながらこのツアーには行けなかったのですが、行った友達からもらっちゃいました。いえい!今でも、聴いています。ライヴを体感しないとこのアルバムの凄さは分からないと噂に聞きましたが、私は聴いていて、とても楽しいです。冒頭のマクドナルドのサンプリングから、微笑んじゃいます。ハウスミュージックの基盤に、様々な独特なサンプリングされた音が、散りばめられていて、なんじゃこれ!と言ったアルバムかもしれません。ハーバートが、書いた言葉を日本語訳されたものが、載っているので、書き出してみますね。

遅ばせながら、音楽は常に政治的なものであるということを痛烈に認識したからこそ、組織化されたノイズを集めたこの作品が誕生したのである。

電子音楽革命によって引き起こされた作曲方法の民主化は、様々な制作法の商業化を導いた。しかしサンプリングは、一般に広く受け入れられている「音楽」という概念に革命を起こすより、芸術的正当性への近道となってしまった。ミュージシャンは、実在する音で空想の世界を作り出すより、素晴らしいレコード・コレクションから音を盗み取り、最高の技術でレコーディングされた、最高の演奏を含む楽曲から、最高の音のパーツを借用して制作をしているだけだ。作曲家とは、単に選ばれた「セレクター」となってしまったのだ。

既存のアイデアをアレンジし直して、別の現代的なコンテクストの中で使用することは、伝統的な西洋音楽の手法ではあったが、過去の演奏そのものが同時に盗まれることは今までなかった。サンプリングされた作曲家は、お金を支払われることが殆どないと同時に(皮肉なことに、その作曲家が大きなレーベルに所属しているときが例外で、レコード会社は作曲家に支払われるロイヤルティーから異常なまでに高いパーセンテージを抜き取りたがるからだ)、ネタとなった作品に参加した演奏家、エンジニア、そしてプロデューサーはクレジットされることもなく、もちろん報酬を受けることもない。資本主義はまたもやその汚れた手で、クリエイティブで政治的なプロセスに介入してしまったのだ。抑制されることのない消費主義と、選挙への無関心が蔓延るこの時代において、音楽までもが太り過ぎた放漫な怪獣となり、現代の消費主義の神話を信奉しながら、その神話を安く人々に売りつけているのだ。その構造の頂点にあるのが「ポップスター」であり、シニカルで冷ややかなオーディエンスの目の前で、レコード会社は次々とあからさまにポップ・グループをでっち上げているのだ。そして、レコード会社は、自ら作り出した蜃気楼を購入するように、オーディエンスを誘惑しているのだ。このトリックは、チョーサーの「面償説教師の物語」の中でも非常に簡潔に要約されている。

世の中の不正に目を向ける人、またセレブリティーを追っかけ、自分たちの社会的、経済的利益のみを追求するメディアが出す表面的な出版物以外を読む気のある人なら、国家権力から企業権力への移行という、極めて危険で気がかりな現象に気づいているはずだろう。

このアルバムは主にこのような問題を題材にしているのだ。ファスト・フードのマクドナルドがそれぞれの地域の人々の食生活を乗っ取り、システマティックに破壊している問題から、西洋諸国がルワンダの内戦に介入せずに、またもや現代のジェノサイド(民族大量虐殺)に間接的に関与してしまった事実などがある。このレコードで使用されているノイズ音は全て、僕が破壊した物から生まれた音だ。このような破壊的な行動は、人間として僕の基本的な欲求や懸念を無視し続けた政府への怒りが原因なのだ。この政府が20世紀の間に兵器を提供し続けた国に対して、今度は宣戦布告をしており、ためらいもせずに全ての人間の命を危険にさらしているのが現状だ。

僕らを騙して、地球が処分しきれないものを買わせるために、商品を過剰包装しているこの社会において、「破壊」というテーマについて語れることはあまりにも多い。しかし言葉の代わりに、僕は音楽を選んだのだ。

2001年9月18日 マシュー・ハーバート

このアルバムは非営利品です


音楽というのは、言葉よりも力を持つこともあるんだなあとあらためて実感しました。私は、ただただ、楽しんで聴くチャラチャラリスナーみたいです(苦笑。でも、ハーバートの文章を読んで、この作品に対する印象が、変わったのは事実です。
posted by ゆりか at 13:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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